うまく訳せませんが、雑誌TIME(5月21日号)に“Are you MOM Enough(あなたは十分母親ですか)?”という題字と目を引く写真が表紙を飾り、大きな反響を呼びました。その写真は、3歳11カ月の男の子が子供用椅子の上に立ち、タンクトップの胸の部分を引き下ろして露出した乳房をくわえながらお母さんと一緒にカメラに視線を向けているものです。
表紙には題字の下に“なぜアタッチメントペアレンティングで母親はここまでやるのか。なぜビル博士は彼女たちから支持されているのか。”と、人目を引きつける言葉が続きます。
(訳者注:アタッチメントペアレンティングというのは、子供とのふれあいを大切にした育児方法。もともと1969年にイギリスの精神科医ボウルビーが用いた言葉で、後にシアーズ博士が提唱するようになった。
ビル博士というのは、邦訳本も出ている“ベビー・ブック”の著者であり、アタッチメントペアレンティングを紹介している小児科医ウィリアム・シアーズ博士のこと。“ベビーブック”以外にも多くの著書がある。)
この表紙と記事は、メディアでも多く取り上げられ、母乳育児支援をしている私たちの間でも話題になっています。今日ご紹介したいのは、この記事に関連して発表されたアメリカ母乳育児学会(Academy of Breastfeeding Medicine)の声明です。あくまで私訳なので、誤訳があるかもしれません。一部タイム誌の内容へのコメントは省略しました。全文はこちらから見られます。
(抜粋訳ここから)
・母乳育児を1歳過ぎまで続けるのは、生物学的に自然なことである。
・タイム誌の表紙写真は、この事実(母乳育児が生物学的に自然なこと)について誤解を与えている。
・母乳育児学会会長のアーサー・アイデルマン医学博士は、「平均的な卒乳時期は、6ヵ月から5歳までの間。」だと話している。主な医学団体はすべて、生後6カ月間は母乳だけで育てることを推奨している。さらに、世界保健機関(WHO),アメリカ小児学会、公衆衛生局長官から出された行動要請(call to action)、母乳育児学会では、母乳育児を1歳またはそれ以降も続けるべきだと奨励している。
・1歳過ぎて授乳することがお母さんと子供にとって害になるという記述は何ら医学的、科学的根拠がない。逆に早期断乳することによる害は明らかになっている。
・母乳には、赤ちゃん用人工乳や牛乳には含まれない栄養、抗体、免疫調整物質などが含まれる。授乳期間が長くなると、お母さんが乳がん、子宮がん、糖尿病、高血圧、肥満になる、または心臓発作を起こす可能性が低くなる。
・タイム誌では、すでに明らかになっている、早期断乳によるリスクに触れておらず、母乳やアタッチメントペアレンティングが子供の発達の妨げになるという根拠のない事実に焦点を当てている。子供のニーズに敏感に反応するぺアレンティング(訳者注:子供を世話し、育てること)や安全に配慮したアタッチメント(訳者注:子供とのふれあい)により、長期的に健康やメンタルヘルスが保たれることは、複数の研究で明らかになっている。
(抜粋訳、以上)
1歳過ぎてからの母乳育児のメリットは、いろいろな研究で明らかになっており、アメリカ小児学会やアメリカ母乳学会をはじめ、いくつもの機関から推奨されています。いつまで授乳するか、ということはお母さんと子供が健康状態、栄養状態、子供のニーズ、お母さんの気持ち、生活環境などをふまえて、決めていくことだと思います。(1歳未満で断乳する場合は、赤ちゃんの栄養について医師と相談することが大切です。)この記事が1歳以降の授乳について誤った認識をお母さんに与えないことを願っています。記事とは直接関係ありませんが、子供のニーズに応える、というのは、母乳育児に限らず、形を変えつつ子育てする中でずっと続いていくことだと思います。
皆さんは、タイム誌の写真、どう思われましたか。
表紙には題字の下に“なぜアタッチメントペアレンティングで母親はここまでやるのか。なぜビル博士は彼女たちから支持されているのか。”と、人目を引きつける言葉が続きます。
(訳者注:アタッチメントペアレンティングというのは、子供とのふれあいを大切にした育児方法。もともと1969年にイギリスの精神科医ボウルビーが用いた言葉で、後にシアーズ博士が提唱するようになった。
ビル博士というのは、邦訳本も出ている“ベビー・ブック”の著者であり、アタッチメントペアレンティングを紹介している小児科医ウィリアム・シアーズ博士のこと。“ベビーブック”以外にも多くの著書がある。)
この表紙と記事は、メディアでも多く取り上げられ、母乳育児支援をしている私たちの間でも話題になっています。今日ご紹介したいのは、この記事に関連して発表されたアメリカ母乳育児学会(Academy of Breastfeeding Medicine)の声明です。あくまで私訳なので、誤訳があるかもしれません。一部タイム誌の内容へのコメントは省略しました。全文はこちらから見られます。
(抜粋訳ここから)
・母乳育児を1歳過ぎまで続けるのは、生物学的に自然なことである。
・タイム誌の表紙写真は、この事実(母乳育児が生物学的に自然なこと)について誤解を与えている。
・母乳育児学会会長のアーサー・アイデルマン医学博士は、「平均的な卒乳時期は、6ヵ月から5歳までの間。」だと話している。主な医学団体はすべて、生後6カ月間は母乳だけで育てることを推奨している。さらに、世界保健機関(WHO),アメリカ小児学会、公衆衛生局長官から出された行動要請(call to action)、母乳育児学会では、母乳育児を1歳またはそれ以降も続けるべきだと奨励している。
・1歳過ぎて授乳することがお母さんと子供にとって害になるという記述は何ら医学的、科学的根拠がない。逆に早期断乳することによる害は明らかになっている。
・母乳には、赤ちゃん用人工乳や牛乳には含まれない栄養、抗体、免疫調整物質などが含まれる。授乳期間が長くなると、お母さんが乳がん、子宮がん、糖尿病、高血圧、肥満になる、または心臓発作を起こす可能性が低くなる。
・タイム誌では、すでに明らかになっている、早期断乳によるリスクに触れておらず、母乳やアタッチメントペアレンティングが子供の発達の妨げになるという根拠のない事実に焦点を当てている。子供のニーズに敏感に反応するぺアレンティング(訳者注:子供を世話し、育てること)や安全に配慮したアタッチメント(訳者注:子供とのふれあい)により、長期的に健康やメンタルヘルスが保たれることは、複数の研究で明らかになっている。
(抜粋訳、以上)
1歳過ぎてからの母乳育児のメリットは、いろいろな研究で明らかになっており、アメリカ小児学会やアメリカ母乳学会をはじめ、いくつもの機関から推奨されています。いつまで授乳するか、ということはお母さんと子供が健康状態、栄養状態、子供のニーズ、お母さんの気持ち、生活環境などをふまえて、決めていくことだと思います。(1歳未満で断乳する場合は、赤ちゃんの栄養について医師と相談することが大切です。)この記事が1歳以降の授乳について誤った認識をお母さんに与えないことを願っています。記事とは直接関係ありませんが、子供のニーズに応える、というのは、母乳育児に限らず、形を変えつつ子育てする中でずっと続いていくことだと思います。
皆さんは、タイム誌の写真、どう思われましたか。