イギリスの通信社PA(Press Association)によると、国際肥満ジャーナル(International Journal of Obesity)に発表された、閉経女性74万人 を対象とした調査で、出産と授乳が母親の後(のち)の体重に影響を及ぼすことがわかった(*1)。
女性は、出産回数が多いほど後に体重が増える傾向にあるが、母乳育児を経験した女性は、出産回数に関係なく平均BMI (肥満指数:body mass index)値が低いことがわかった。BMI値は、身長と体重から計算され(*2)、イギリスでは30以上を肥満とみなす。今回の調査で、授乳期間が6ヶ月増えると 後年のBMI値が1%減少することがわかった。本調査のメンバーであり、オックスフォード大学のがん疫学ユニット長のベラル教授は、「1%のBMI値減少は小さな変化だが、イギリス全人口で考えると、肥満が要因の糖尿病、心疾患、特定の悪性腫瘍による死亡者数が10年間で1万人減ることになる。」という。本調査の筆頭著者である、オックスフォード大学のボブロウ教授は、「母乳育児が赤ちゃんにとって最高のものであることはわかっていたが、本調査で母親にも利点があり、産後30年経ってあらわれる利点もあることが明らかになった。妊娠中の女性は、こうした利点を知った上で、赤ちゃんの授乳方法(母乳またはミルク授乳)を選択するべきだろう。」
母乳育児による母親への利点は、産後の体重減少、閉経前の乳がんおよび子宮がんの減少、骨粗鬆症の減少など、いろいろな調査結果がありますが、産後30年後のBMI値の減少 については、初めて聞きました。
この調査は、イギリス人女性のデータが基になっているため、果たして日本人女性に適用される利点といえるかどうかは疑問です。実際、日本肥満学会が定めた判定基準では、BMI 値22が標準、25以上が肥満であり、イギリスよりも低い値が設定されています。 一方、40-60歳代の日本人女性の肥満率は21.7%であり( 平成20年。*3)、日本人女性の死因順位(平成20年)も、1位悪性腫瘍、2位心疾患、9位糖尿病と(*4)、肥満が要因になりうる病気が多いことを考えると、 母乳育児の副産物としての 効果を期待してよいかもしれません 。
30年後のBMI値を1%下げるために母乳育児を半年延長するという女性は少ないと思いますが、母乳育児を続けることで後年の体重減少がおまけについてくる、というのは母乳育児を続けるお母さんへちょっと嬉しいニュースです。
*1 PA通信社記事: http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5gRIOe-m4_7WgobtWbIpOiJAMP3Rw?docId=N0080711341832999748A)
*2 BMI値は、体重(kg)/(身長(m)x身長(m)で求められます。
*3 国民栄養調査/肥満者の割合(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/11/h1109-1.html
*4 平成20年人口統計/死因順位(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai08/kekka3.html
女性は、出産回数が多いほど後に体重が増える傾向にあるが、母乳育児を経験した女性は、出産回数に関係なく平均BMI (肥満指数:body mass index)値が低いことがわかった。BMI値は、身長と体重から計算され(*2)、イギリスでは30以上を肥満とみなす。今回の調査で、授乳期間が6ヶ月増えると 後年のBMI値が1%減少することがわかった。本調査のメンバーであり、オックスフォード大学のがん疫学ユニット長のベラル教授は、「1%のBMI値減少は小さな変化だが、イギリス全人口で考えると、肥満が要因の糖尿病、心疾患、特定の悪性腫瘍による死亡者数が10年間で1万人減ることになる。」という。本調査の筆頭著者である、オックスフォード大学のボブロウ教授は、「母乳育児が赤ちゃんにとって最高のものであることはわかっていたが、本調査で母親にも利点があり、産後30年経ってあらわれる利点もあることが明らかになった。妊娠中の女性は、こうした利点を知った上で、赤ちゃんの授乳方法(母乳またはミルク授乳)を選択するべきだろう。」
母乳育児による母親への利点は、産後の体重減少、閉経前の乳がんおよび子宮がんの減少、骨粗鬆症の減少など、いろいろな調査結果がありますが、産後30年後のBMI値の減少 については、初めて聞きました。
この調査は、イギリス人女性のデータが基になっているため、果たして日本人女性に適用される利点といえるかどうかは疑問です。実際、日本肥満学会が定めた判定基準では、BMI 値22が標準、25以上が肥満であり、イギリスよりも低い値が設定されています。 一方、40-60歳代の日本人女性の肥満率は21.7%であり( 平成20年。*3)、日本人女性の死因順位(平成20年)も、1位悪性腫瘍、2位心疾患、9位糖尿病と(*4)、肥満が要因になりうる病気が多いことを考えると、 母乳育児の副産物としての 効果を期待してよいかもしれません 。
30年後のBMI値を1%下げるために母乳育児を半年延長するという女性は少ないと思いますが、母乳育児を続けることで後年の体重減少がおまけについてくる、というのは母乳育児を続けるお母さんへちょっと嬉しいニュースです。
*1 PA通信社記事: http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5gRIOe-m4_7WgobtWbIpOiJAMP3Rw?docId=N0080711341832999748A)
*2 BMI値は、体重(kg)/(身長(m)x身長(m)で求められます。
*3 国民栄養調査/肥満者の割合(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/11/h1109-1.html
*4 平成20年人口統計/死因順位(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai08/kekka3.html