今日は、母乳とカフェインのお話をしたいと思います。
授乳中はカフェインを摂らないというお母さんがたくさんいらっしゃいます。一方、コーヒー好きで授乳中も気にしないで飲む方もいらっしゃいます。カフェインは母乳にどのくらい移行するのでしょう?赤ちゃんに影響はあるのでしょうか?
お母さんが摂取した食べ物や薬は、多かれ少なかれ母乳に移行します。「多かれ少なかれ」というのは、摂取量、摂取してからの経過時間、代謝時間、摂取した物の分子の大きさや半減期などによって母乳に移行する量が異なるためです。
カフェインは母乳に移行する量が少なく、ある研究では、お母さんが摂取したカフェインが母乳に移行する量は0.6から1.5パーセントでした。摂取してから経過した時間によっても移行する量は上下します。お母さんがコーヒーを飲んでから1〜2時間後にカフェイン量が多くなります。
一般的には、コーヒーを少々飲んでも授乳に影響しません。一日に飲むレギュラーコーヒーの量が4杯までであれば、赤ちゃんに影響ないと指摘する研究もあります。一方で、コーヒーを飲むと興奮したり眠れなくなる赤ちゃんもいます。赤ちゃんがカフェインに敏感に反応する場合は、ためしにカフェインの摂取を数日から一週間控えると状況が変わるかもしれません。ただ、毎日何杯も珈琲を飲んでいる方(750ml以上)が急にカフェインを断つと頭痛が起きる場合があります。
コーヒー以外にもお茶やコーラなどの炭酸飲料、栄養ドリンク、チョコレート、一般用医薬品(頭痛薬や風邪薬など)にもカフェインが含まれていることがあります。また、チョコレートやココアに含まれるテオブロミンもカフェインと同じような作用があります。カフェイン摂取を控える場合はこれらの食品や薬にも気をつけて下さい。
(参考)カフェインの含有量
レギュラーコーヒー1杯:130mg、インスタントコーヒー1杯:65mg、デカフェコーヒー1杯:3mg、紅茶や緑茶1杯:20−90mg、コカコーラ1缶(340ml):65mg、ミルクチョコレート50g:10mg
月齢の低い赤ちゃんの方が月齢の高い赤ちゃんに比べてカフェインの代謝排泄に時間がかかります。カフェインの半減期(体内のカフェイン量が半分になるまでにかかる時間)は、新生児で98時間(4〜5日)、生後3〜5ヶ月の赤ちゃんは14時間、大人は約5時間です。このため、新生児期はカフェインの摂取を控えましょうと書かれた育児書もあります。
実際には、赤ちゃんによってカフェインへの反応に個人差がありますので、赤ちゃんの様子をみて判断して下さい。
参考までに妊娠中のカフェイン摂取についてです。ある研究では、妊娠初期に毎日200mgのカフェインを摂取(レギュラーコーヒー2杯)すると子宮内胎児発育不全(intrauterine growth restriction)や流産(miscarriage)のリスクが高くなる場合があると指摘しています。
母乳の場合は、お母さんが経口摂取ー>お母さんの血液中に移行ー>母乳に移行ー>赤ちゃんが経口摂取ー>赤ちゃんの血液中に移行 とフィルターがいくつかありますが、妊娠中は、お母さんが経口摂取ー>お母さんの血液中に移行ー>血液を通じて胎児に移行 とフィルターが1つあるのみです。産後の赤ちゃんにくらべて胎児がまだ未熟であることも重ねて考えると、母乳による赤ちゃんへのカフェインの影響よりも胎児へのカフェインの影響やリスクの方が高いことも理解できます。
<参考文献及びウェブサイト>
Hale (2012), Mothers Milk and Medication
Mohrbacher, S.J. (2003), The Breastfeeding Answer Book (3rd edition), La Leche League International
Mohrbacher (2010), Breastfeeding Answers Made Simple, Hale Publishing
Penny Simkin, J.W, etc (2010), Pregnancy Childbirth and the Newborn (4th edition), Meadowbrook Press
Kelly Mom
授乳中はカフェインを摂らないというお母さんがたくさんいらっしゃいます。一方、コーヒー好きで授乳中も気にしないで飲む方もいらっしゃいます。カフェインは母乳にどのくらい移行するのでしょう?赤ちゃんに影響はあるのでしょうか?
お母さんが摂取した食べ物や薬は、多かれ少なかれ母乳に移行します。「多かれ少なかれ」というのは、摂取量、摂取してからの経過時間、代謝時間、摂取した物の分子の大きさや半減期などによって母乳に移行する量が異なるためです。
カフェインは母乳に移行する量が少なく、ある研究では、お母さんが摂取したカフェインが母乳に移行する量は0.6から1.5パーセントでした。摂取してから経過した時間によっても移行する量は上下します。お母さんがコーヒーを飲んでから1〜2時間後にカフェイン量が多くなります。
一般的には、コーヒーを少々飲んでも授乳に影響しません。一日に飲むレギュラーコーヒーの量が4杯までであれば、赤ちゃんに影響ないと指摘する研究もあります。一方で、コーヒーを飲むと興奮したり眠れなくなる赤ちゃんもいます。赤ちゃんがカフェインに敏感に反応する場合は、ためしにカフェインの摂取を数日から一週間控えると状況が変わるかもしれません。ただ、毎日何杯も珈琲を飲んでいる方(750ml以上)が急にカフェインを断つと頭痛が起きる場合があります。
コーヒー以外にもお茶やコーラなどの炭酸飲料、栄養ドリンク、チョコレート、一般用医薬品(頭痛薬や風邪薬など)にもカフェインが含まれていることがあります。また、チョコレートやココアに含まれるテオブロミンもカフェインと同じような作用があります。カフェイン摂取を控える場合はこれらの食品や薬にも気をつけて下さい。
(参考)カフェインの含有量
レギュラーコーヒー1杯:130mg、インスタントコーヒー1杯:65mg、デカフェコーヒー1杯:3mg、紅茶や緑茶1杯:20−90mg、コカコーラ1缶(340ml):65mg、ミルクチョコレート50g:10mg
月齢の低い赤ちゃんの方が月齢の高い赤ちゃんに比べてカフェインの代謝排泄に時間がかかります。カフェインの半減期(体内のカフェイン量が半分になるまでにかかる時間)は、新生児で98時間(4〜5日)、生後3〜5ヶ月の赤ちゃんは14時間、大人は約5時間です。このため、新生児期はカフェインの摂取を控えましょうと書かれた育児書もあります。
実際には、赤ちゃんによってカフェインへの反応に個人差がありますので、赤ちゃんの様子をみて判断して下さい。
参考までに妊娠中のカフェイン摂取についてです。ある研究では、妊娠初期に毎日200mgのカフェインを摂取(レギュラーコーヒー2杯)すると子宮内胎児発育不全(intrauterine growth restriction)や流産(miscarriage)のリスクが高くなる場合があると指摘しています。
母乳の場合は、お母さんが経口摂取ー>お母さんの血液中に移行ー>母乳に移行ー>赤ちゃんが経口摂取ー>赤ちゃんの血液中に移行 とフィルターがいくつかありますが、妊娠中は、お母さんが経口摂取ー>お母さんの血液中に移行ー>血液を通じて胎児に移行 とフィルターが1つあるのみです。産後の赤ちゃんにくらべて胎児がまだ未熟であることも重ねて考えると、母乳による赤ちゃんへのカフェインの影響よりも胎児へのカフェインの影響やリスクの方が高いことも理解できます。
<参考文献及びウェブサイト>
Hale (2012), Mothers Milk and Medication
Mohrbacher, S.J. (2003), The Breastfeeding Answer Book (3rd edition), La Leche League International
Mohrbacher (2010), Breastfeeding Answers Made Simple, Hale Publishing
Penny Simkin, J.W, etc (2010), Pregnancy Childbirth and the Newborn (4th edition), Meadowbrook Press
Kelly Mom