4/14付けのウォールストリートジャーナルのオンラインブログに標題の記事が出ていました。
母乳育児率は1970年代に最低となりました。それ以降、小児白血病や小児肥満、大人になってからの子宮がんや糖尿病発症リスク低減のためにも、アメリカ疾病予防センター(CDC:United States Centers for Disease Control and Prevention)などが産後6か月は完全母乳で育てるよう啓蒙してきました。しかし現在の産後6か月の完全母乳率はわずか16.4%です。
記事では、その理由を5つあげています。以下、本文を要約しましたが、誤訳もあるかもしれません。お気づきの点がありましたらご連絡下さい。また、興味のある方は本文をご覧下さい。
1.100年来の慣習:もともと出産時にお母さんが亡くなった乳幼児などのために、動物のミルクよりも栄養価の高い代替ミルクとして人口乳が作られました。1900年代前半には、母乳量を増やすために、またお母さんを休ませるためにといった(今では誤った情報のもとに)粉ミルクが推奨されました。
2.働く女性:アメリカは有給の産休期間が保証されていない数少ない先進国であり、乳幼児を抱える母親の約56%が働いています。また州法では女性が搾乳する時間と場所を提供するよう定められていますが、仕事によっては難しく特に低所得者層に顕著です。
3.社会経済的不平等:人種や所得によって授乳率の違いがあることがわかっています。白人高所得者の授乳率が最も高くなっています。女性が授乳するかどうかは、周囲の女性や友達が授乳しているかどうかに大きく依存します。また、アメリカで生まれる赤ちゃんの半数以上はWICプログラム(低所得の母親に食料を提供するプログラム)に参加しています。WICでは積極的に母乳育児を推進しているにも関わらず、WICがアメリカの人工乳消費の半分以上を占めています。
4.病院での人工乳投与・サンプル配布:ある研究では入院中に母乳で過ごせたかどうかが退院後母乳育児を続けるための大きな要因でした。病院内で人工乳を与えられたり病院でもらうギフトバッグに人工乳のサンプルが入っていると、人工乳の使用が例外的なものではなく勧められているように感じるのです。アメリカの病院の半数以上はギフトバッグで人工乳のサンプルを配布しています。人工乳などを与えて赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸う時間が減ると母乳の供給量が減り母乳が足りなくなるという悪循環になってしまいます。
5.人工乳の多額な宣伝費:アメリカではテレビのコメントやクーポンの郵送、産科や病院における無料サンプルの配布など至る所で人工乳がマーケティングされています。雑誌調査会社のユーロモニターによると、アメリカの人工乳市場は50億ドルといわれ、カンターメディアによれば2013年の宣伝広告費は4500万ドルにのぼるそうです。世界保険機関(WHO)ではWHOコードと呼ばれる『母乳代替品のマーケティングに関する国際基準』を提唱し、その中で医療機関は人工乳を無償提供しないこと、となっています。アメリカではこの提唱を実現するための法令化はなされていません。WHOコードについても、いずれご紹介できたらと思います。
母乳育児率は1970年代に最低となりました。それ以降、小児白血病や小児肥満、大人になってからの子宮がんや糖尿病発症リスク低減のためにも、アメリカ疾病予防センター(CDC:United States Centers for Disease Control and Prevention)などが産後6か月は完全母乳で育てるよう啓蒙してきました。しかし現在の産後6か月の完全母乳率はわずか16.4%です。
記事では、その理由を5つあげています。以下、本文を要約しましたが、誤訳もあるかもしれません。お気づきの点がありましたらご連絡下さい。また、興味のある方は本文をご覧下さい。
1.100年来の慣習:もともと出産時にお母さんが亡くなった乳幼児などのために、動物のミルクよりも栄養価の高い代替ミルクとして人口乳が作られました。1900年代前半には、母乳量を増やすために、またお母さんを休ませるためにといった(今では誤った情報のもとに)粉ミルクが推奨されました。
2.働く女性:アメリカは有給の産休期間が保証されていない数少ない先進国であり、乳幼児を抱える母親の約56%が働いています。また州法では女性が搾乳する時間と場所を提供するよう定められていますが、仕事によっては難しく特に低所得者層に顕著です。
3.社会経済的不平等:人種や所得によって授乳率の違いがあることがわかっています。白人高所得者の授乳率が最も高くなっています。女性が授乳するかどうかは、周囲の女性や友達が授乳しているかどうかに大きく依存します。また、アメリカで生まれる赤ちゃんの半数以上はWICプログラム(低所得の母親に食料を提供するプログラム)に参加しています。WICでは積極的に母乳育児を推進しているにも関わらず、WICがアメリカの人工乳消費の半分以上を占めています。
4.病院での人工乳投与・サンプル配布:ある研究では入院中に母乳で過ごせたかどうかが退院後母乳育児を続けるための大きな要因でした。病院内で人工乳を与えられたり病院でもらうギフトバッグに人工乳のサンプルが入っていると、人工乳の使用が例外的なものではなく勧められているように感じるのです。アメリカの病院の半数以上はギフトバッグで人工乳のサンプルを配布しています。人工乳などを与えて赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸う時間が減ると母乳の供給量が減り母乳が足りなくなるという悪循環になってしまいます。
5.人工乳の多額な宣伝費:アメリカではテレビのコメントやクーポンの郵送、産科や病院における無料サンプルの配布など至る所で人工乳がマーケティングされています。雑誌調査会社のユーロモニターによると、アメリカの人工乳市場は50億ドルといわれ、カンターメディアによれば2013年の宣伝広告費は4500万ドルにのぼるそうです。世界保険機関(WHO)ではWHOコードと呼ばれる『母乳代替品のマーケティングに関する国際基準』を提唱し、その中で医療機関は人工乳を無償提供しないこと、となっています。アメリカではこの提唱を実現するための法令化はなされていません。WHOコードについても、いずれご紹介できたらと思います。